コラム

あなたの仕事依存度は?

アルコール依存との合併のおそれが?! 仕事依存(workaholics)

北條 孝枝


あなたの仕事依存度はいかがでしょう?
チェックしてみませんか?

□ 週に50時間以上の勤務を恒常的にしている、
 あるいは月に50時間以上の残業をする
□ 起きているときは常に仕事のことを考えている
□ 休日に何もしていないとイライラする
□ 仕事をさせてもらえるうえに給料までもらえるなんで幸せだ
□ 仕事をしていると最高に充実感を覚える
□ 趣味はなく、友人は仕事関係の人に限られている
□ 家庭よりも、職場のほうが居心地が良い
□ 職場では動き回り、休み時間を取らない
□ 働いていれば、疲れや悩みは吹っ飛んでしまう
□ 忙しすぎて病気になんかならない

チェックがついた項目
 3~4  ゆとりを失っている。リラックスが必要
 5~7  ストレスがかなりたまっている。休養が必要
 8~10 要注意。専門家に相談してみましょう。
  (参考:依存症のすべてが分かる本 渡辺登著)

いかがでしたか?
チェックリストの項目でもわかるように、仕事依存は決して特別な症状ではなく、どんな性格でも、どんな職場でも起こりうる症状といえます。

【定義と症状】
仕事依存とは、仕事のみが生きがいで、毎日遅くまで残業し、休日にも仕事のことを考えているような人のこと。ただし生産性のある依存症なので、単に「仕事熱心な人」と認知されることが多くあります。

典型的な症状を挙げると
・休日恐怖→休みの日にも仕事をしていないと落ち着かずイライラする。
      休日をのんびり過ごせず、家に仕事を持ち帰るか休日出勤など、
      何かしら仕事をしてようやく安心感を得ることができる。
・ 家族の問題→夫婦間の不和・母子家庭のような不正の欠如した家庭環境と
      なるため次世代への影響も懸念される。
・ 心身への影響→休息が欠如するため疲労が蓄積する
      ⇒過労死・うつ病の危険性も
アルコール依存症との合併が非常に多い。⇒前回述べたように怖い病気です!
      (ONとOFFの切り替えにアルコールを使うことが多いため)

【なりやすい人・なりやすい職場】
では、どんな方が仕事依存になりやすいのでしょうか?

・ 基本的に前向き思考
・ ライバル意識が強い
・ 責任感が強い
・ 周囲からの高い評価を期待する
・ 頼まれればどんな仕事でも引き受けてのめり込む
・ 精神的にも肉体的にも「タフだ」と思い込んでいる
・ 精神的・肉体的活動を常に高く保とうする

つまり、決して不真面目ではなく、情熱と高い志の持ち主であるといえます。

次に仕事依存になりやすい職場とはどんな職場でしょう?

・ 上司から厳しいノルマを課せられる
・ 業務成績が毎月(毎週)、壁に貼り出される
・ 深夜まで残業している人が多い
・ 休日に出勤するのは当たり前
・ 上司、部下ともサービス残業は当たり前
・ トップに体育会系出身者(精神論者)が多い
・ 少々の体調不良では会社を休ま(め)ない
・ 年次有給休暇の消化率が著しく低い

このようにみていくと、仕事依存とは前述したようにどんな人でも、どんな職場でも起こりうることがわかります。
仕事依存症は、不安への対処行動から始まることが少なくありません。これはアルコ―ル依存症が不快な気分の気晴らしをきっかけとして始まるのとよく似ています。
仕事存症の方が怪我や病気などで1週間以上の戦線離脱を余儀なくされると、情動障害(イライラ、不安)がでてくることがよくあります。なので、仕事依存症の方から仕事を取り上げてしまうと不安・抑うつの症状が前景にでてしまうことがあるので、仕事の割り振りには注意と工夫が必要となります。つまり、無理に全面休養させることは得策ではないといえます。

【対策】
仕事依存症者をださないために職場では以下のような対策が考えられます。

・ 会社において強制的に終業させる(過重労働をさせない)
・ 仕事は家に持ち帰(ら)せない(情報のセキュリティ上からも必要)
・ 仕事を自分ひとりで全部抱え込まず、他の人に委ねるよう指導する
・ 仕事以外の価値や趣味を見つける(ワークライフバランスの見直し)
⇒そのために会社で各種セミナーを用意することも効果的

前回、述べたように「依存症」の依存の対象は以下のように分類できます。

1.物質:アルコール・ニコチン・違法薬物など
2.行為:仕事・ギャンブル・買い物・ネット等(あるプロセスに対して)
3.人:職場・恋愛など(関係に対して)

全ての依存症に共通するのは「止めようと思っても止められない」「逃れようと思っても逃れられない」、つまり自分でコントロールできないということです。
仕事依存症は依存の対象が「仕事」というプロセスに対しての依存ですが、依存の対象が「職場」という人に対しての依存の場合があります。

【職場依存】
職場依存とは、特別忙しいわけでもないのに、遅くまで職場に居残りなかなか帰宅しない方たちを指します。

帰宅しない理由は
1. 仕事依存症のため
2. 帰宅拒否→精神の休まる場(居場所)がない
3. 職場自体への依存→義務感・責任感・あきらめ感・周囲への一体感(特に上司からの評価を得たい)
⇒3の場合は抑圧が強く、メンタル不調の予備軍です!

依存症は「やめようと思ってもやめられない」「逃れようと思っても逃れられない」病気です
前回ご説明したように「依存」には成長と自立につながる「よい依存」と依存症や共依存へと進む「悪い依存」があります。依存とは対象に支持や援助を求めること。「仕事」に対しても「職場」に対しても「よい依存」でありたいですね。

(参考:依存症のすべてが分かる本 渡辺登著・精神科医 大野先生のセミナーより) 


2013.02.18